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弛度計算1 (2007/05/01修正)

基礎的な考えと計算式を提示します。
計算式の誘導に関しては省略します。

※「弛度」とは
送電において一般に「弛度」と呼ぶのは、電線支持点と電線のなす曲線の最低点との高さの差です。dまたはD(dip)と表記します(Sagと称することもアリ)。

○水平地度
支持点が同じ高さの場合は、弛度は中間点にあり、値は一つですが、実際は支持点の高さが異なる場合がほとんどで、それぞれの支持点よりの弛度(dL,dH)があります。

○斜地度
電線が、高低差のある二支持点に支持されているとき、両支持点を結ぶ直線と電線のなす曲線との鉛直距離の最大値を斜弛度といいます。
支持点高低差のある場合は、一般に斜地度のことを単に弛度と呼ぶことが多い。

ひもを両手で持ってピンと張った状態から、少しづつ両手を近づけてくると重力に引っ張られてだらりと下にたるみます。このたるみが弛度です。(この場合、両手が鉄塔の支持点にあたります)

○弛度計算の必要性
1.電線は、弛度を大きく(深く)とるほど電線自身にかかる張力が減り安全性を増す。
2.弛度を大きくすると、支持物(鉄塔)の高さを上げなければならず不経済である。
3.弛度を大きくすると、風による横振れに起因する事故や氷雪による跳ね上がり現
 象等による事故の機会を増す。

従って、1.2.3.を考慮し、適当な弛度張力で設計しなければならない。

○弛度計算
弛度計算式には、前回の「カテナリー曲線」で書いたカテナリー式と、カテナリー式を放物線に近似して計算する放物線式(パラボラ式)とがある。

送電の測量においては、弛度計算をすることは殆ど無く、指示された数値で縦断図に曲線を描くだけです。(鉄塔の工事をする場合は、架線時に架線用の弛度張力計算をします)
この曲線を描くために「ディップ定規」と言う定規を使います。
理屈は簡単で、放物線式 d=WS^2/(8T) の W/(8T) の部分を K とおくと式は、d=KS^2 となり Kの値をいろいろにとることによって曲線を描くことができる。
様々な電線と張力との組み合わせがあるが、Kの範囲はそう広くはなく、よく用いられるKの値の定規を作成しておけば、そのK値だけで会話が成立してしまう。
「NO.5と6はK56でディップ曲線をひいてね。」
「わかりました。」
という具合である。

※縦断図 : 送電線の線路の地形を縦に切った時の断面図
※架線時 : 送電線を張る時

12/August/1997,修正01/May/2007