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弛度計算2
  まずは、概略。
(1)電線の弛度は、設計最悪気象条件下で電線に設計使用最大張力が生ずるように定めるのを原則とする。
(2)弛度設計のためには電線の機械的性質を充分理解しておく必要がある。
(3)電線にかかる荷重には自重、氷雪荷重、風圧の三つが考えられる。
(4)温度の変化による電線実長の変化も弛度張力に影響をあたえる。
(5)夏季の台風時と冬の季節風時の二つを想定して、最悪条件を考える。

ここから詳細です。ちょっとくどい説明になるかもしれません。

「電 線の抗張荷重と最大使用張力」
架空送電線用電線として普通は、より線が用いられ、一般的には、硬銅より線及び鋼心アルミより線が用いられる。

硬銅素線の引張り強さの保証値を計算する式

  tc=47.1-1.1d [kg/mm^2] 
   tc : 硬銅素線単位断面積あたりの引張り強さ
   d : 直径[mm]

素線の断面積を A[mm^2]とすると、素線N本の抗張荷重の保証値は

  Tc=0.9ANtc [kg]

鋼心アルミより線の抗張荷重の保証値は

  Tas=0.9(ta・Aa・Na + ts・As・Ns)

  suffixの a はアルミ素線を、 s は鋼素線を表す

許容最大使用張力は、抗張荷重をある安全率で割ったものとしており、その数値は電線種類ごとに決められていて、おおむね2以上である。 電線の最大張力は支持点において生ずるから、支持点で安全率を確保すべきはいうまでもないが、計算の便宜上多少のゆとりを持った安全 係数で水平最大使用張力を求め、支持点については場合に応じて安全率を確認する。
 
  「電線にかかる荷重」
電線にかかる荷重としては電線自身の重量、電線に付着する氷雪等の重量及び電線に加わる風圧荷重があり、これが同時に働く時の合成荷重 W は、
で求められる。

(i)着氷雪荷重 Wi
  着氷雪荷重は次式で求められる。
積雪が多い地方では、比重0.9の氷が厚さ6mm以上、電線と同心円上に付着したうえに冬季の風圧が作用する状態を考えて設計条件とするようです。東北電 力管内では、着雪をも考慮して計算します。着雪時の条件としては、密度0.6〜0.7、厚さ 25〜40mmです。

(ii)風圧荷重

  風圧荷重は風速によって異なり、40m/sにとっている。
  実験によって、単導体の風圧荷重は100kg/m^2と決められている。
  これは高温季荷重の場合であって、低温季では高温季の1/2として計算する。
「気 温」
電線実長の温度変化による膨張収縮そのものは大した率ではないが、弛度張力には非常に大きな変化を与えるので、設計気温のとり方と、温度の変化範囲の想定 は弛度張力の計算上重要である。

「高 温季荷重と低温季荷重」
(1)氷雪が多くない地方ではその地方の平均温度で、電線の重量と、電線の投影面積1m^2につき100kgの水平風圧との合成荷重で計算する。
(2)氷雪が多い地方では(1)の他、さらにその地方の最低温度で電線の周囲に厚さ6mm以上比重0.9の氷雪が付着した場合、電線及び氷雪の重量と被氷 電線の投影面積1m^2につき50kgの水平風圧との合成荷重で計算する。

(1)は夏季の台風時を目安として設計条件を定めたものであり、(2)は冬季の季節風時 を目安として設計条件を定めたものである。実際には、いずれの最悪状態においても 電線の安全率は規定の値を保持しなければならないから、(1)で設計したものが(2)で はどうなるか、またはその逆はどうか確認を要する。
(1)を高温季荷重、(2)を低温季荷重と言う。

「負 荷係数」
電線にかかる荷重としては、前述のように自重、風圧、被氷雪荷重の三つがあるが、これらの合成荷重の大きさの自重に対する比を負荷係数という。負荷係数 q は次式により計算される。
高温季荷重においは被氷なく風圧は 100kg/m^2 であるから上式に



を代入して計算する。Dは電線外径[mm]です。
高温季負荷係数は qH とあらわす。

低温季荷重においては風圧は 50kg/m^2 であるから、付着氷雪の厚さを k [mm]とすると
となる。これを負荷係数の式に代入して計算する。
低温季負荷係数は qL とあらわす。
「電 線の最悪条件」
電線に対し、高温季と低温季のどちらの条件が過酷になるかといえば、負荷係数が高 温季より低温季の方が大きい場合は低温季に存在する。逆の場合(qH > qL)は、径間長 によって異なってくる。
この径間長の境を臨界径間といっているが、径間長が臨界径間より短い場合は低温季 が過酷になり、径間長が臨界径間より長いと高温季が過酷となる。
この過酷となる条件を最悪条件と呼び、弛度張力を計算する出発点としており、これ を第一条件とも言う。

「臨 界径間」
長径間では、荷重の影響が大きく、温度変化による電線実長の変化が弛度張力におよぼす影響は小さいのであるが、短径間になるほど温度変化による線膨張収縮 の影響は 著しくなる。従って、ある径間長を境として、それより長径間のでは高温季荷重の方が酷であり、それより短径間では低温季荷重の方が酷であるような径間長が 存在し、 このような径間長を臨界径間という。(高温季の負荷係数が低温季の負荷係数より大きい場合に臨界径間が存在する)
 
/* 弛度設計式 */

さて、以上のことをふまえていよいよ弛度設計式です。

任意の条件時の弛度を求めるには d=(WS^2)/T ですので、この時の張力 T を算出し ないと d が計算できません。
ここで、求めようとする条件 (これを第2条件と呼ぶ) の張力 T2 は、電線の実 長変化を追跡して求めます。
最終的な式だけ挙げますが、式の誘導については要望があれば書きます。

24/December/1998